難しかった24年度の総監筆記試験

私は平成24年度の総監2次試験を受験致しました。その年に幸い合格となりましたが、対受験者の合格率は8%を切る低さで、難関の年と言われております。午後の筆記試験が始まってすぐに受験会場でため息が流れ、途中退出する受験者もいた記憶があります。
私も、設問の多さと複雑さ、様々な回答への条件に戸惑いつつも、題意を必死にくみ取っていたと思います。そのうち会場ではペンを動かす音が響き始めましたが、私は回答の構成や骨子を問題用紙の余白に考えては書き、また図式化を繰り返していました。多くの受験生が1枚目を書き終える頃に、ようやく回答に着手しました。自分にとっては、なかなか回答に着手できないような難題であったかもしれません。

総監筆記試験のワナにかからないために

ここ数年の総監の出題内容を見ましても、相変わらず設問の構成は複雑であり、また複数の設問が階層化され、合わせて時間軸や付帯条件も示されています。一見すると、題意に沿って回答できる範囲が狭められているようにも思われてしまいます。
こうした一種のワナに掛からないよう、冷静に構成を詰めること、時間内に解答用紙を埋めきるよう、最初の30分~1時間(人によります)に集中しなければなりません。さらに題意や付帯条件にかなう構成を生み出すことが、試験会場での合格への一歩であると考えます。
では、そのためにどのような準備やテクニックが必要か?について、順に述べたいと思います。

【準備事項1 論文テーマ】

筆記試験では、必ず自分でテーマを決める必要があります。自分の経験したことや知見のあること、といった条件はありますが、あくまで自分で決めるものです。そこで業務経歴や周辺事象から想定されるテーマを5~10件ほど準備します。業務経歴を中心に拾いあげ、経験や知見をもとに回答内容を広げられるものが望ましいと思います。

【準備事項2 各テーマでの背景や要求事項、5管理の整理】

各テーマについて、背景や予条件、要求事項を整理します。これらは設問で尋ねられています。次に総監技術士に求められる5つの管理技術(経済性管理、人的資源管理、情報管理、安全管理、社会環境管理)について、少なくとも3つの管理の視点で、各テーマでの切り口や課題、対策、リスク等を整理します。以上は総監の視点で回答する上での情報源となります。

【準備事項3 5管理同士のトレードオフと全体最適化の整理】

回答では、総監技術士に求められるトレードオフ発生時の対処や、部分最適から全体最適化への発想を示す必要があります。これも事前に、5管理同士のトレードオフの内容と対処をテーマごとに整理し準備をします。

【準備事項4 論理構築の実際】

総監筆記試験のワナにかからないためには、自ら回答範囲を限定化し、そこに集中した論理構成を考える必要があります。例として、設問の様々な条件に適合した結論を最初に決め、そこに到達するような論理構成を逆方向で作りあげる方法があります。
このような方法は通常の問題解決では行わないはずですが、仮想事例を扱う試験問題ではあえてやってみる、ということです。結論に向けた論文作成の練習を積むことも一手と考えます。
また、論理構成を頭の中だけで構築するには無理な場合も多いと思います。その場合には、論理の流れや相互関係を図式化し、またフローにして、問題用紙の余
白にまとめる方法もあります。

以上の4点が、私の受験経験と総監筆記試験の出題傾向から見た対策の要点です。あなたの受験対策の一部に、ご参考となれば幸いです。青葉隆造