総監技術士の定義を良く理解しよう!

文部科学省が公開したキーワード集(総合技術監理部門キーワード集(2019))には、総合技術監理技術士について具体的に記載されていますので、以下に引用します。

このような仕組みを継続的に運用し様々な科学技術の活用を行っていくには,それぞれの要求事項を個別に管理するだけでは不十分である。業務全般を見渡した俯瞰的な把握・分析に基づき,複数の要求事項を総合的に判断することによって全体的に監理していくことが必要となる。このような背景から,上述のような能力を持った人材を育成し活用を図るため,技術士のひとつの部門として「総合技術監理部門」が導入された。ここで「監理」という文字を使用しているのは,総合技術監理が各管理活動やその他の内容を総合して監督する概念であることを明確にするためである。

ここでは「業務全般を見渡した俯瞰的な把握・分析に基づき,複数の要求事項を総合的に判断することによって全体的に監理する能力を持った人材」としています。

すなわち、複数の要求事項を個別にみているだけでは不十分となり、総監技術士とは言えません。あくまで複数の要求事項を総合的に判断することが求められます。また、論文のテーマの中に要求事項がひとつしか無ければ、これも論外になるでしょう。さらに、要求事項をひとつひとつ順に検討するような論文では評価されないことになります。合格論文を書くには気をつけねばならない点です。

次の引用です。

現代の科学技術はもはや一部の専門家が推進し一部の人がそれを利用するという性格のものでなく,科学技術の行使がたとえ小さなものであってもその影響が地球的規模に及ぶ可能性があり,そのような状況の中で自らが携わる技術業務が社会全体に与える影響を正しく把握し,社会規範や組織倫理から定まる行動規範を自らの良心に基づいて遵守する高い倫理観を持った総合技術監理技術者が必要とされているのである。

科学技術への社会面や環境面への影響についての記述です。それら影響の把握と同時に、社会規範、組織倫理、行動規範、倫理観といったことも前提とされています。つまり、自分の組織内だけではなく、広く社会や環境に目を向け、科学技術の影響に対し高い倫理観から行動できる技術者が必要である、と述べられています。そうした社会的視点と倫理性が合格論文には必要とされるでしょう