総合技術監理部門の導入は、こう考えられた!

総監が必要とされる背景について、『総合技術監理 キーワード集 2019』から引用をします。

現代の科学技術業務から生み出される製品改良のプロセス

巨大化、総合化、複雑化している科学技術業務の結果として生み出される製品が、さらに品質、安全性、コストなどを満たされるような改良についての記述となります。

この改良の過程では様々なフェーズで個別の技術改善が行われるが,そのためには多くの技術者がそれぞれの能力を十分に発揮できるための仕組み,要素技術の知見など様々な情報を結集するための仕組みなどが必要である。また,事故を未然に防止する技術や事故時でも利用者の安全を確保する技術,騒音防止や有害排出物の抑制など周辺環境に与える負荷を抑える社会環境の保全に関する技術などを適切に使用し,製造物・製品の製造を行っていくための仕組みも必要である。

ここでは、技術者の能力発揮の仕組み(人的資源管理)、様々な情報を結集するための仕組み(情報管理)、事故を未然に防止する技術や事故時でも利用者の安全を確保する技術(安全管理)、周辺環境に与える負荷を抑える社会環境の保全に関する技術(社会環境管理)、それらを適切に使用し,製造物・製品の製造を行っていくための仕組み(経済性管理)と、製品の改良における5つの管理に触れています。

総監技術者が必要とされる背景と、総監技術者の定義

このような仕組みを継続的に運用し様々な科学技術の活用を行っていくには,それぞれの要求事項を個別に管理するだけでは不十分である。業務全般を見渡した俯瞰的な把握・分析に基づき,複数の要求事項を総合的に判断することによって全体的に監理していくことが必要となる。このような背景から,上述のような能力を持った人材を育成し活用を図るため,技術士のひとつの部門として「総合技術監理部門」が導入された。ここで「監理」という文字を使用しているのは,総合技術監理が各管理活動やその他の内容を総合して監督する概念であることを明確にするためである。

この赤字部分が、総監が必要とされる理由を明確に定義した部分です。冒頭の製品の改良などの仕組みを「継続的に運用し、様々な科学技術を活用」するには、5つの管理ごとの要求事項を個別に管理するだけでは、うまくいかないと言っています。そして「複数の要求事項を総合的に判断し全体的に監理できる人材を育成し活用を図るため」、一般部門とは別の部門として総監が導入されたと結論付けています。

「巨大化、総合化、複雑化している科学技術について、複数の要求事項を総合的に判断し全体的に監理できる人材」=総監技術者と理解できます。そして、その人材育成ため、一般部門に加え総合技術監理部門が導入された、という経緯があったと言えます。この人材像は、受験申込書の作成、筆記試験、口頭試験の各ステップにおいて、自分がそれに当てはまる技術者である、ということを頭にたたき込んで下さい。自己暗示をかけても良いかもしれません! それほど重要な総監技術者の定義であると言えるでしょう。