『総合技術監理 キーワード集 2019』の第1章 総合技術監理 には、「総合技術監理に必要とされる倫理観」が示されています。以下に引用します。
科学技術社会の基盤を支える技術者は,その技術レベルを高く維持するとともに,社会人として,技術者としての高い倫理観や国際的視点を持つことが求められる。特に技術士は,その指導的立場からも,一般の技術者よりもさらに一段と厳しいプロフェショナルとしての高い倫理観を維持することが期待され,また要求されている。
総合技術監理に携わる技術士は,その業務内容の広がりからも,特に技術者倫理については強い自覚を持ち,自らの良心に基づいて自らの行動を律していかなければならない。例えば,データの取り扱いに関する客観性や公平性,手法や技術の正しい使用には常に気を配り,とくに社会的に要求されている事項では,たとえ自組織に不利になるものが含まれていても正しく情報公開を行うなど,技術士としての行動規範を遵守することが必要である。
この技術者倫理についての記述ですが、倫理観の具体的な内容は、平成28年に文部科学省の科学技術・学術審議会技術士分科会がまとめ公開した「今後の技術士制度の在り方について」の別紙2「技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)」に掲載されています。そちらを引用します。
技術者倫理
・業務遂行にあたり、公衆の安全、健康及び福利を最優先に考慮した上で、社会、文化及び環境に対する影響を予見し、地球環境の保全等、次世代に渡る社会の持続性の確保に努め、技術士としての使命、社会的地位及び職責を自覚し、倫理的に行動すること。
・業務履行上、関係法令等の制度が求めている事項を遵守すること。
・業務履行上行う決定に際して、自らの業務及び責任の範囲を明確にし、これらの責任を負うこと。
最初の文章では、地球環境の保全と社会の持続性の確保が示されています。5つの管理のうちの社会環境管理の内容に相似していますが、技術者倫理のひとつに地球環境保全や社会の持続性確保の視点が加わったことに注意すべきでしょう。総監の筆記試験では、そうした視点を加えるべきです。