総監の背景を理解しよう!

キーワード集について

総監受験で、まず最初に総監技術士について良く理解する必要があります。文部科学省より総監技術士の定義が明確に示されており、その内容を確認しましょう。参照するのは、「総合技術監理部門キーワード集(2019)」です。これは文部科学省が平成30年11月6日にホームページで「技術士制度における総合技術監理部門の概念及び技術体系を示すため、キーワード集を取りまとめ公表」したもので、総監受験の原典です。これは廃刊となった旧青本(技術士制度における総合技術監理部門の技術体系)の後継となるものです。

このキーワード集は、技術士制度における総合技術監理部門の概念及び技術体系を示すため作成されたもので、総監の5つの管理分野の基本となるキーワードを整理したものです。またキーワードとは別に1章で、総合技術監理そのものについての解説を記載しています。

総監が必要とされる背景

ここでは、総監が必要とされる背景について、科学技術の成果を踏まえ、以下のように記載されています(引用いたします)。

科学技術による様々な成果は日々の生活の中に浸透し,人々はその豊かさ,便利さを享受している。しかし科学技術そのものは巨大化・総合化・複雑化が進展しており,その発達を個別の技術開発や技術改善のみによって推進することは難しい状況になりつつある。つまり,科学技術を発展させるのは一部の専門家の努力だけでは難しく,企業や研究機関などの組織活動が技術の有効性を発揮するための大きな基盤となってきているのである。また,それに伴って事故や環境汚染が生じた場合の社会への影響も,従来に比して遥かに大きなものとなってきている。

要旨は以下の3点になります。

  1. 科学技術の成果は人々の暮らしを豊かに便利にしている一方で、科学技術そのものは巨大化、総合化、複雑化が進んでいること。
  2. 科学技術を発展させるのは一部の専門家だけではなく、企業や研究機関などの組織的活動が基盤となっていること。
  3. 事故や環境汚染が生じた場合の社会への影響も、従来に増して遥かに大きくなっていること。

総監受験で扱うテーマの制約条件

このような背景は、総監受験での大前提となります。言い換えれば、総監の受験申込小論文や筆記試験で扱うテーマには、以下の条件があるとも言えるでしょう。

  1. 対象とする分野や事象は、巨大化、総合化、複雑化が進んでいるもの。
  2. 対象とする分野や事象は、一部の専門家だけでなく、組織的活動が基盤となっているもの。
  3. 対象とする分野や事象は、何か問題が生じた時の社会への影響が大きなもの。

つまり技術のスケールや組織と社会への視点が前提条件となると言えます。そこから外れたテーマ、例えば、あまりに専門的な技術におけるテーマ、小さな地域や集団についてのテーマ、閉鎖的な環境内だけのテーマでは、合格論文などは書けないことになります。注意が必要です。