総監試験概要と合格基準

総監の筆記試験と口頭試験の概要と合格基準について、ご説明をします。

筆記試験の内容

二次試験の受験申込書には以下のように記されています。

・試験内容[配点]、解答時間

「総合技術監理部門※」に関する課題解決能力及び応用能力

1 択一式  40 問出題・全問解答 [ 50 点 ] 2 時間 (10:0012:00)

2 記述式  600 ×5 枚以内 [ 50 点 ]3 時間 30 (13:0016:30) 

※総合技術監理部門の必須科目の内容は、次の通り

ⅰ.安全管理 に関する事項.社会環境との調和 に関する事項 .経済性(品質、コスト、生産性)に関する事項.情報管理 に関する事項.人的資源管理 に関する事項 

口頭試験の内容

同じく二次試験の受験申込書には以下のように記されています。

・試問事項 [配点]

「総合技術監理部門」の必須科目に関する技術士として必要な専門知識及び応用能力

  • 体系的専門知識 [ 40 点 ]
  • 経歴及び応用能力 [ 60 点 ]

・試問時間 20分 (10分程度延長の場合もあり) 

以上のようにシンプルな内容ですが、5つの管理についての「専門知識、応用能力、課題解決能力」が合格基準に達しているということになります。これを言い換えると『5つの管理それぞれについて専門知識を持ち、応用する能力もあり、さらにトレードオフも考慮しながら課題解決をする能力がある』となるでしょう。 

総監試験合格者への評価とは?

専門技術だけは解決できないような複雑で社会的影響の大きい課題について、総監技術士には解決するだけの能力がある、と試験の上では認められたことになります。これが合格により得られるものです。十分、自信を持てる結果であると思います。また座学だけでなく、業務経歴や小論文にもとづき実際の体験についても評価がされたものです。このことは合格後の総監技術士の拠り所となるでしょう。  

筆記試験概要と合格基準

筆記試験は、午前中2時間の択一式と午後3時間半の記述式からなります。択一式では40問が出題され、全問の解答が求められます。配点は50点です。記述式では1問が出題され、600文字解答用紙を5枚使い、解答を記述します。配点は50点です。 

択一試験のポイント

択一試験は、日本技術士会が発行していた通称青本からの出題が中心でしたが、最近では青本以外からの出題が増加していました。青本の内容が、特に情報管理や社会環境管理の面で世の中の変化に対応できていなかった面があったためです。日本技術士会は青本の発行をやめ、2019年になり青本のかわりとなる「総合技術監理 キーワード集 2019」を公表しています。ここには800以上にのぼる総合技術監理部門にかかわるキーワードが解説無しで掲載されています。ここに掲載されたキーワードより択一試験の問題ができるものと推察されます。近年の総監合格率の低下は筆記試験範囲に拡大にあるという意見もありますが、キーワード集の公開によって拡大した範囲の網羅や絞り込みといったことも可能でしょう。 

筆記試験のポイント

筆記試験は、2~4ページ程度の長文問題が出題されます。サプライズ問題が多いと言われることもありますが、出題内容には一定のパターンが見受けられ、十分な対策を行えば恐れるようなものではないと考えられます。ただし長文を読み解き、さらに合計3000文字の解答用紙を書き切れるだけの文章構成を行う必要があります。

筆記試験の出題内容にはテーマが設けられています。令和元年の「ヒューマンエラー」、平成30年の「働き方改革」、平成29年の「持続可能な開発目標(SDGs)」、平成28年の「科学技術の導入による事業の変化」などです。これらテーマに沿った解答を記述しますが、問題文の設問は大項目や中項目による階層構造となっており、またいくつかの条件設定もされています。こうした事項をすべて満たすような文章構成を考えた上で3000文字という長文の記述を行うのが筆記試験の概要です。 

合格基準は択一式と記述式の合計得点が60%以上(60点以上)です。筆記試験の合格者が口頭試験に進むことができます。択一式で高得点を狙い、記述式の得点を補うような対策を聞くことがありますが、避けるべきです。合格基準に示された総監技術士としての適格性を問われるのは択一式の成績より記述式での解答内容にあるためです。  

口頭試験概要と合格基準

受験申込書には口頭試験について、「技術士としての適格性を判定することに主眼をおき、筆記試験における答案及び業務経歴を踏まえ実施するものとし、次の内容について試問します」とあります。その内容とは、「総合技術監理部門」の必須科目に関する技術士として必要な専門知識及び応用能力とあり、配点は体系的専門知識が40点、経歴及び応用能力が60点です。

合格基準は、体系的専門知識、経歴及び応用能力 の得点が、それぞれ 60%以上です。筆記試験では択一式と記述式の合計得点が60%以上でしたが、口頭試験ではそれぞれが60%以上となり注意が必要です。 

口頭試験のポイント

総監の口頭試験では何を聞かれるか分からない、ということを聞きます。しかし受験申込書にあるように「技術士としての適格性を判定」されるのですが、総監技術士として適格であることをアピールする場と考えるべきでしょう。判定対象には筆記試験における答案と業務経歴があります。筆記試験の合格者が口頭試験に進むため、業務経歴の内容について改めて総監技術士として適格であるか、事前に確認し何度か模擬試験も行うことで最終の合格に近づくことができます。そのため、4月の時点で出願した受験申込書の業務経歴内容に適格性が欠けていると口頭試験で苦労することになりかねません。しかし挽回も可能です。4月からの成長を示す場でもあるためです。